「HELLO WORLD if ━勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする━」 伊瀬ネセキ 感想
タイトル
HELLO WORLD if ━勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする━
作者
小説 伊瀬ネキセ
原作 映画「HELLO WORLD」
内容紹介
世界で一番”誠実な失恋”をした勘解由小路三鈴の物語 。
平凡で物静かな中学生生活を送っていた三鈴のもとに、ある日、未来からやってきた自分、ミスズが現れる。彼女は、これから三鈴が出会うとても大切な二人を助けるために過去に来たという。ミスズと出会ったことで、どんどん勘定を開放し魅力的な少女へと成長していく三鈴。やがて高校へ進学した彼女はそこで運命の二人、直美と瑠璃に出会う。ようやく出会った二人を救うために三鈴が起こした奇跡。それは━━。
映画「HELLO WORLD」のifの世界を描くスピンオフ小説。
(裏表紙より)
感想
本編では途中で出番がなくなってしまうながら存在感のあった勘解由小路三鈴。この作品では主人公を務める。
本編よりもメインで登場するキャラクターが増えて、なおかつ物語に厚みの出ているifストーリーだと思った。未来のミスズと三鈴が登場人物として増えたことにより直美と瑠璃のことをより客観的に見てとれるのでさらに本編の深いところを知ることができるようになっていると思う。
三鈴の「自分を好きになれる自分になる」という「変わりたい!」という思いが本編の直美よりも強く出ているこの作品。以前の自分とは明らかに変わっていても「なりたい自分」にはなかなかなれない三鈴の思いがよく伝わってくる。
三鈴の瑠璃と直美に対する思い、瑠璃の三鈴に対する思いが真面目に目が潤んでしまうような展開だった。
未来のナオミの世界もデータの世界で本当の世界のことについてもこのifストーリーの方がわかりやすく書かれている。本編はラストのところで判明するけど直美が起きたところくらいしか出てこないので。ifというよりもこちらがより「HELLO WORLD」という作品における真実に近い話しなのかなーという気がする。
映画で見て本編を楽しめた人にこそ是非とも読んでもらいたい作品。
最後に
最近映像化されるもの、されているものを小説でも読んでみる、というのが楽しい。
映像作品で伝わるもの、小説で伝わることはイコールではないってのが面白い。
しばらくはこういった楽しみ方で読書を習慣化していければいいなと思う。